まずはおさらいとして、角館町家の典型的特徴三ヶ条から。
1、切妻屋根
2、妻入り(ちなみに京都は平入り)
3、前面にとりつく片流れの下屋(冬場のアーケードになり「こもせ」という)
では、この典型例で、前回紹介したものと違ったやつを下に示します。

これもかろうじて見つけた典型町家のうちのひとつです。しかもこれは空家ではなくバリバリの現役です。頼もしい限りです。
さて、これでじゅうぶんおさらいできたので今回の本題に入りたいと思います。第2回目ということで、今回は応用編(?)です。

前回、モダン町家を紹介しましたが、上のものはコンクリートモダン部分の主張を限り無くおさえて、あたかも「単なる壁」のごときに振る舞っています。その下部には町家型のサイン、すなわち「木造真壁で切妻」な下屋をぺったり張り付けてます。これなら後ろのコンクリートに気付かず、平家の純粋な町家として、じゅうぶん、、、全然通用しません。すごく気付きます。後ろのコンクリート部分。

さて、お次はこちら。おおっ!また典型的な町家発見か!「木造真壁の切妻に片流れの下屋」ばっちり。しかしその両側隣をよく見ると、、。実はこれ平入の3軒長家のまん中だけが当地の町家型になっているとっても奇妙な代物なんです。切妻が先か、平入の長家が先か、う〜ん。切妻三連長家は無理やしなあ、、。

「平入の助けを借りるなんざ言語道断だぜ」的なやつが上。なんと短辺方向の切妻だけでなく、側面全面にも強引に切妻を張り付けてあり、しかも片流れの下屋までつくっちゃってます。直角両面切妻野郎!!恐るべしです。

普通にいけば棟で折れ曲がり穏当な平入の家になるはずなのに、鋭角的、雪崩的に折れ曲がる真っ赤な鉄板がズドーン。真っ赤な鉄板!ああなんて情熱的、、。でもすごくかっこわるい。個性が全速力で空振りした感じ。でも
片流れの下屋がなんだか真面目で憎めない。

同じ個性派でも、こいつはすごい。完全な石造建築で母屋を構成。
造形的な観点からいうと「切妻妻入」とは、建築個体の強さを正面性に託して表明するものです。逆に「切妻平入」は周囲との連続性と、それによる水平的な風景を目指すもの。妻入の出雲大社と平入の伊勢神宮を思い浮かべたら納得できると思います。その観点から見るとこの町家は妻入という正面性の強さを石造形で見事に表明しているといえます。石で忠実に木造の切妻型を模造しても意味ないですが、石ならではの造形で個性溢れる強い正面性を形成することは逆に当地の造形感覚にフィットするように思われます。本当にお見事!しかもちゃんと片流れの下屋もよい感じでついてるし。
というわけで、第2段はここらへんでおしまいにしたいと思います。次回は早くも(早くないよ、いい加減おわってくれ!という怒声は無視して)最終回です。近々アップしますので、また御覧いただけたら幸いです。では、また。
中身が結納品?とか雑貨とかごちゃごちゃなのも何とも。