
お待たせしました。今年度の「京都地区型住宅即日設計競技 ミテキテツクッテ」開催の御案内です。
今年は11月18日+19日に開催します。対象地区は稲荷学区です。
18日が稲荷学区町歩きと、稲荷学区型住宅の制作ワークショップです。
19日は前日に制作された稲荷学区型住宅作品展示と、公開審査を行います。会場は「ひとまち交流館京都」です。詳細は京都CDLホームページにて御案内しますのでそちらを御覧ください。
今回は「ミテキテツクッテ」の企画主旨などについて書き記したいと思います。
「都市型住居」という言葉があります。例えば、町家は京都を代表する都市型住居です。では京都の住まいは全て町家をモデルにしたらよいのでしょうか?
京都には、さまざまな特徴を備えた地区があります。そして、ある地区には、その地区にふさわしい、その地区ならではの魅力的な住まい方があるはずです。ここではそのような、「地区にふさわしい住居」を都市型住居ならぬ「地区型住居」と銘々しています。
「ミテキテツクッテ」では、京都にあるさまざまな地区から、ある地区を選定し、その地区を実際に歩き、見ることで、その地区に潜む、魅力的な住まいのヒント(=「地区ヒント」)を探し出し、そのヒントをもとにその地区にふさわしいユニークな「地区型住居」を設計、提案することが目的なのです。
ここで気になるのが「地区ヒント」なる言葉です。これはいったい何なのでしょうか?
集落調査で、民家に共通の屋根形状や開口の付け方などを、デザインコードとして収集し、それを採用することをデザインルールとしながら、その集落にふさわしい住宅を提示するという方法をよく見かけます。
しかしながら、きわめて妥当と思われるこの方法によってできあがる住宅が、何故か民家の「抜け殻」にしか見えないということが多々あります。
これは民家の表面的な「かたち」収集に終始した結果、そこの生活を規制し決定づけるような本質的な「かたち」を捕まえることができなかったことが原因なのではないかと思われます。
例えば、敷地境界線を共有する3軒の隣り合った家があったとします。しかしこの3軒の間を走る小さな断層と、街路体系の在り方のせいで、互いの家を行き来するのに数百メートルも迂回せねばならないという事態(この事態を「知り得ないお隣さん」と銘々します)があったとしましょう。この事態は
それぞれの屋根形状や開口のつき方なんかとは、比べ物にならないほどに、これらの家での生活の在り方に、良くも悪くも規制や影響を与えています。
「ミテキテツクッテ」では、こんな生活の在り方を大きく規制する地区の「かたち」を、地形や街路の在り方、家の配列などから抽出し、それを「地区ヒント」とします。そしてこれをもとに地区型住宅を構想していくのです。
このような「地区ヒント」をもとに形成される家は、ぱっと見たところは、そこに馴染んでいないように見受けられるものも提示されます。けれどもそこにあることで意味を発生させ、逆にいうとそこになければ意味をなさないような不思議な家となっていきます。
また、このヒントからは、予定調和的な家の「かたち」は誘導されませんし、「なんとなくこんな家が馴染むんじゃないかな」的な恣意的な形態決定も拒まれます。その地区から誘導されたにもかかわらず、予期せぬような「かたち」を持つ家。そしてその家があることで地区の生活風景がとっても魅力的になるような家。
「地区ヒント」とは当企画の大事な大事なキーワードなのです。
長くなってしまったので、ひとまずここまでとしておきます。興味をもたれたみなさん、是非是非御参加ください。地区から生まれたのに、地区を予期せぬような「かたち」で魅力的にする家、そんな家を一緒に町を歩きながら構想できたらと願っております。


